LARS RECORDS

腰を据えて音楽を

タイでの1ヶ月生活-ライブ編-

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どうも。

今年はフジだろって思ってたら、サマソニ周辺が意外と良くて嬉しい最近。特にソニックマニアがアツい。洋邦共にバランスいいよね。フォーメーションが特に楽しみ。

さて、タイでの音楽とのあれこれ、「タイでの1ヶ月生活ーレコ屋編ー」に引き続き、今回はライブ編。

ライブに足を運ぶことになったキッカケは、バンコクのレコ屋・bungkumhouse records。店長のゴーンさんにオススメしてもらったThe Eastbound Downersというバンドがすごく良かったんだけれども、このバンドは既に解散してしまっていた。ところがこのバンドのメンバーが別のバンドをやっていて、しかもレコ屋を訪れた日から1週間後に解散してしまうとの情報をゴーンさんが教えてくれた。これは行くしかないってことで、チェンマイ(タイ北部の都市)に行く予定を少し遅らせて、そのライブに行ってきたわけです。

バンド名は''Degaruda''。Youtubeで聴いてみるとゴリッゴリのハードコア。イーストハウンドより更に攻撃的なサウンドになってた。

ラストギグの会場は''Soy Sauce Bar''。「おいおい、ソイソースバーって(笑)」とはなったものの、会場自体は落ち着いた雰囲気の良さげな場所だった。ただ此処は名前の通り、アートギャラリーを兼ねたバーで、普段は絵画が展示されている空間でお酒が飲める場所。そう、ライブハウスじゃないんですよ。というよりも、タイにはライブハウスがないんですね。ライブをする場所はバーが多いみたいです。縦に長い会場で、フロアの広さは渋谷のO-Crestくらいだろうか。

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次に驚いたのがチケット代。なんと200バーツ、日本円で600円ちょっと。儲ける気ないですね。ちなみにCDアルバムが1000円弱、Tシャツ一枚1000円弱。ライブ行ってCDとTシャツ買っても3000円出してお釣りが返ってくる。ちなみにチケット代と言ってもチケットはなくて、正確に言うと入場料。払った人は手の甲にマジックペンで✖️を書いてもらうんです。なんだかほっこりしてしまった。

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イベントの概要としては、Degaruda含め8組くらいの出演者で構成されたちょっとしたフェスみたいな感じ。不思議だったのが、主催者でメインアクトでもあるDegarudaがトップバッターとトリの2回演奏していたこと。このパターン、日本では見たことがなくて新鮮だった。1回目の演奏は観客30名くらい。本人たちもリハ程度の感覚でやっていたように見えた。そこからはゲストの他アクトの演奏が続いていったんだけど、総じて言えることは楽曲のクオリティと演奏力の高さ。ほとんどのバンドが音源すら出していないことに驚いた。CD欲しいなと思うバンドも数組いたし。

気付くとラストのDegarudaに。トップバッターとして演奏したときとはまるで別のバンド。気迫と熱量がバンドの器に留り切れずに溢れ出して、フロアを呑み込んでいるように見えた。もちろん技術は変わらないはずなのに。人の心を揺らす音楽は魂の密度が高いんだということを体感できた。ライブが始まったときにスカスカだった会場は超満員。入りきらない人が表に溢れ出すくらいの集客でした。ここで驚いたことは、タイ国外の人たちの多さ。アメリカ、ヨーロッパ、中国、そして日本と多岐に渡ってた。あの光景にはグッときたな。 

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left:Dioさん right:Topさん

イーストハウンドの元メンバーの人と話したかったけど、Degarudaの誰なのか分からなかったから、とりあえずボーカルのDioさんに話しかけてみるとまさかの張本人。イーストハウンドのCDを見せると「マジかよ!ファッキンクレイジーだ!」と凄く喜んでくれた。一緒に写真を撮ってもらい、DegarudaのCDにサインまでしてくれた。優しくて気さくないい人だったよ。

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それからもう一つ、 ライブ会場でたくさんの日本人の方々と会えたことが嬉しかった。10人ちょっとだったと思うんだけど、みんながお互いに顔見知りで一つのコミュニティーになってた。ほとんどの人がタイに住み、仕事をしながら音楽活動をしているとのこと。その内のお二人と仲良くなったんだけど、1人は去年まで日本のWeb音楽メディアを運営してたnakajimaさん。名前は伏せるけど、そこそこ音楽を掘り下げている人なら知ってるであろうデカいメディアです。そしてもう1人はタイでバンドをやっているギタリスト・岩元さんなんですが、そのバンドのドラマーはLOSTAGEタイツアーで現地コーディネイターを務めた方。岩元さんもLOSTAGEタイツアーの際にメンバーと飲んだらしい。凄すぎませんか?音楽が繋げてくれたことに、ただただ感動でした。nakajimaさん夫妻と岩元さんには、ベトナムからタイに戻った際に食事に連れていってくれたり、岩元さんと一緒にセッションさせてもらったりと凄くお世話になりました。本当にありがとうございました。

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アクトのみなさん

バー兼アートギャラリーでハードコアを鳴らしてる光景が最高にクールでした。場所を選ばず(正確には選べないけど)やれるところならどこでもやるっていう姿勢がいいなぁと。

つい先日、''AMRICAN HARDCORE''っていう80年代の米国におけるハードコアムーブメントをまとめたドキュメンタリー映画を見たんですが、まさにタイで感じたことがこの映画の内容でも描かれていました。やれるところがないなら、友達の家の裏庭だろうがバーだろうが何処でもやるんだっていう。

日本って東京はもちろん地方にもライブハウスがあって、良くも悪くも音楽をやる環境が整ってますよね。それを「日本は進んでる」「タイは遅れてる」と捉えることは簡単だけど、俺にはどっちが良いか判断することは出来ないなって思いました。少なくともこの日のライブで見たバンドの演奏は、何を歌っているかは分からなかったけど、しっかりと記憶に焼き付いてます。それは理屈じゃなくて、彼らの必死さや熱量に依るものだったと思うし、伝わってき易かったとも思う。音楽を表現する手段について考えさせられる貴重な体験になりました。

改めて、タイと音楽に乾杯を。

ではまた。