LARS RECORDS

腰を据えて音楽を

フィジカルについて思うこと

CDやレコード、カセットテープを買いますか?

ユニオン、TSUTAYAHMVタワレコレコファン、町のレコードショップ。Amazonみたいなオンラインで買う人も少なく無いはず。そもそもCDなんて買わずに、YouTubeやストリーミングサービスで済ませている人の方が圧倒的多数かもしれない。僕Apple Musicを使っているけど凄く便利ですよね。気になったらすぐに聴けるし、取り扱っているアーティストも日々増えている。

それでも、僕はCDを買うしレコードも買う。収集欲が強いこともその一端かもしれないけど、最たる理由は好きな音楽を手元に置いておきたいから。極端な話をすると、音楽って形もなければ色も匂いもないですよね。ただ流れていくだけ。勿論、記憶には残るし気持ちを動かすことだって出来るけど、物体としては存在しない。そして、その欠点(敢えて欠点と言います)を補っているものこそがCDやレコード、カセットテープと言ったフィジカルだと思うんです。

その要素の一つがジャケット。音楽には不可欠ですよね。敢えてジャケを作成しないっていう方法もあると思いますが、楽曲とジャケットが1セットであることは絶対的なスタンダードです。アルバムの世界観を視覚的に表現できる数少ない手段であり、聴き手に強烈な印象を与えるもの。例えば、ある楽曲を聴いたときにその曲のジャケットをイメージしたことってありませんか?他には「この曲って色で例えるなら青だな」って思ったら実はジャケットが青を基調とするものだったり。それくらい重要な要素だと思うんです。

だけど、Apple Musicだってジャケットを見ることはできるし、Youtubeにアップロードされている音源の中にはご丁寧にジャケを表示させてくれるものだってある。ではジャケットにおけるフィジカルの良さは何か。それは『触れられる』というところにあると思います。通常のプラスチックケースかデジパック(紙の台紙にプラスチック製のCDトレーを乗せたやつ)か、なんていう違いもある。デジパックだと、光沢のある素材もあれば、サラサラしているもの、時には文字が浮き上がっているものもある。オンラインでは手の届かない裏面を見ることだってできるわけです。

ジャケット以外にも目を向けてみる。

CDであればディスクに何かが描かれているかもしれない。レコードならカラーヴァイナルなんていう特別仕様のものもある(通常は黒のものが圧倒的多数)。

歌詞カードは横書き?縦書き?それによって言葉の感じ方が変わることだってあり得る。よく聴いてきた曲の歌詞を初めて読んでみたら、イメージとは言葉の区切り方が違っていて「そういうことか!」なんていう新しい発見に至った人もいるんじゃないだろうか。歌詞検索サイトを見ればいいだとか言い出す人がいればそれはそれで結構です、そういう話をしているんじゃない。

クレジット欄にあなたの好きなアーティストやバンドの名前を見つけて、「どういう繋がりなんだ?」と調べ始めた結果、新しい世界を見ることができるかもしれない。

 CDを取り出した裏側に仕掛けがあることだってあるし、帯の裏側にまで工夫を凝らしているものだってある。

パッと思い付くだけでもこんなに魅力がある。これらは作り手が意図してやっていることだと思っているし、楽曲とフィジカルが揃ってこその『作品』だと信じて止まない。

気になった作品を全てフィジカルで買わなくたっていいわけです。Apple MusicやSpotiryなんていう夢のようなサブスクリプションサービスが普及しているんだし、片っ端から聴いて本当に好きなものだけを買えばいい。便利なものはどんどん使って大企業の恩恵を受ければいい。法に触れていそうなアプリを使うよりよっぽどいい。

ということをこんなちっぽけなブログに書き綴ったところでCDの売り上げは落ち続けていくだろうし、レコードやカセットのブームだって一時的なもので終わってしまうかもしれない。まぁでもそれは仕方ないんだろうと最近は思います。それでもきっと僕の好きなバンドの人たちは、CDを買わずにいられないような素敵な作品を生み出してくれると思うので。

これを読んだ誰かが好きな作品をフィジカルで買ってくれたらいいなと思います。お店で作品を買って早く帰って聴きたくてウズウズするあの感覚や、フィルムを剥がして再生機に入れるときのあのドキドキを思い出して欲しいなと。

好きな音楽を手元に。

ではまた。